競争戦略論・基本戦略(マイケル・ポーター)

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マイケル・ポーターの「競争戦略論・基本戦略」

ライバル企業との競争に勝つための戦略を考えるさい、取るべき方法は無数にあると思われがちだが、実は、たった3つしかない。

それを表したのが、アメリカの経営学者マイケル・ポーターが提唱した「競争戦略論」である。

「競争戦略論」は、アメリカにおいて、著書ではベストセラー、MBAでは必須の教科となっている有用な理論である。

その「競争戦略論」の中で述べられている「基本戦略」では、企業が選ぶべき3つの選択肢が述べられている。

それでは、早速、マイケル・ポーターの「競争戦略論・基本戦略」を見ていこう。

マイケル・ポーターの「競争戦略論・基本戦略」は、下記の3つからなる。

マイケルポーターの競争戦略論・基本戦略

  1. コストリーダーシップ戦略
  2. 差別化戦略
  3. 集中戦略

1.コストリーダーシップ戦略

まず、最初に検討する戦略は、「コストリーダーシップ戦略」である。

コストリーダーシップ戦略とは、ようするに、「業界最安値」を狙っていく戦略である。

業界全体を市場として捉え、商品・サービスの費用(コスト)を極限まで抑え、価格決定の主導権(プライスリーダー)を握る戦略である。

ライバル企業と同じような商品・サービスを、とにかく一円でも安く販売するのが目指す方向性となる。

なぜ、コストリーダーシップ戦略が有効なのかといえば、「価格が安い」ということは、最も、強い購買動機となるからである。

価格が安いと今まで見向きもしなかった客層が購入してくれる。

消費者の購買動機をグンと引き上げてくれる。

例えば、デパートのバーゲンセール商品に群がる人々を見れば一目瞭然であろう。

価格が安いというだけで、我先にと、商品を奪い合うほどである。

同じ商品、同じサービスなら一円でも安い方を選ぶのが、お客の当然の購買心理である。

商品・サービスの費用(コスト)に加え、得られる利益までも極限まで抑えるので、当然、利益は薄くなるが、その分、販売数で上げて行くことで利益を確保していくビジネスモデルである。

大量仕入れや巨大なストックスペースが必要となるので、コストリーダーシップ戦略は、価格競争に耐えうる莫大な資本力がある大手企業の戦略である。

2.差別化戦略

上記のコストリーダーシップ戦略を検討し、とてもライバルとの競争に勝てない場合は、「差別化戦略」を考える必要がある。

差別化戦略とは、ようするに、ライバル企業とは、異なる商品・サービスを提供してく戦略である。

価格で勝てない場合は、商品・サービスを変えるほかない。

差別化戦略もまた、コストリーダーシップ戦略と同様に業界全体をターゲットとして捉えるが、提供する商品・サービスの内容をライバル企業とは違うものにする戦略である。

具体的には、価格を一円でも安くするコストリーダーシップ戦略とは異なり、逆に商品・サービスに費用(コスト)をかけ、価格を高め価値を上げていく。

価格は高くなり販売数はコストリーダー戦略よりは下がるが、費用(コスト)をかけ価値を高め価格を上げた分、利益を確保していく。

商品・サービスの価値を高める例としては、例えば、品質をグレードアップしたり、デザインを優れたものにして、他社との差別化を行い市場での生き残りを図っていく。

差別化戦略は、資本力よりもむしろ、ビジネスモデルによるところも大きいので、大企業に比べ資本力に劣る中小企業でも可能な戦略である。

3.集中戦略

業界全体をターゲットとするコストリーダーシップ戦略や差別化戦略を検討しても、ライバル企業に勝てそうもない場合は、最後の切り札、「集中戦略」を実行するしかない。

集中戦略とは、コストリーダーシップ戦略、差別化戦略が、業界全体をターゲットするのに対し、特定の分野にターゲットを集中して絞る戦略である。

そして、その特定の分野に集中した中で、コストの低減を目指す「コスト集中戦略」と、商品・サービスの差別化を目指す「差別化集中戦略」の何れかの道を選択することとなる。

集中戦略は、特定の分野にターゲットを集中して絞るため、業界全体をターゲットとするコストリーダーシップ戦略、差別化戦略に比べ資本がかからないため、経営資源の限られた中小企業でも実行可能な戦略である。

マイケルポーターの競争戦略論・基本戦略の実例

マイケルポーターの競争戦略論・基本戦略の実例をみてみよう。

ホテル業界での実例を紹介する。

例えば、とある地方の県庁所在地の駅前という同じ市場の中で、競争戦略をもとに宿泊施設を分類してみると下記のようになる。

一つ目のコストリーダーシップ戦略では、ビジネスホテルが該当する。ビジネスホテルは、ビジネス客から旅行客まで幅広い顧客層をターゲットとし、価格の安さで勝負している。無駄なサービスを極力カットし、価格を一円でも安くしている。

具体的なホテル名で言えば、スーパーホテル、東横イン、ルートインなどの全国チェーンのビジネスホテルがあげられる。

二つ目の差別化戦略では、シティホテルがあげられる。シティホテルは、コストリーダーシップ戦略とは違い、価格の安さで勝負せず、サービスの多様性で勝負している。

例えば、シティホテルには、宿泊以外に、レストランが併設されている。ランチタイムの他、カフェタイム、ディナータイムでの営業が行われ、宿泊者以外でも自由に利用ができる。

また、シティホテルによっては、駅前という立地を活かし、ブライダル(結婚式)もできるホテルがある。

このように、シティホテルでは、無駄なサービスを極力カットするビジネスホテルとは違い、逆にレストランやブライダルなど宿泊以外のサービスを提供することで差別化を行い、生き残りを図っている。

三つめの集中戦略では、民宿や旅館があげられる。駅前にある民宿や旅館は、ターゲットを常連客に集中的に絞り家族的なサービスを提供している。

また、カップルにターゲットを集中的に絞り、内装や浴槽を豪華にしくつろぎ感を与えるファッションホテルも集中戦略の例として上げられる。

さらに、最近では、急成長を遂げている「Airbnb」のサービスも集中戦略の例としてあげられるだろう。できるだけ安く泊まりたい外国人等にターゲットを集中的に絞り、民泊の宿だけをウェブサイトのみで紹介している。

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