キャッシュレスポイント還元事業とは何か?
2019年10月から国(経済産業省)が行う「キャッシュレスポイント還元事業」(キャッシュレス消費者還元事業)が始まりました。
このキャッシュレスポイント還元事業は、ご存知のとおり、2020年6月の終了までに限り、対象となる中小・小規模店舗のお店で商品を購入するさいに、クレジットカードや電子マネー、QRコード決済などのキャッシュレスでお買物をすると決算会社から最大で5%ポイント還元が受けられるキャンペーン制度です。
キャッシュレスポイント還元事業は、消費者にとってはポイント還元が行われる一方で、店側にはポイント目当てによる顧客増が見込まれ両者にウィンウィンのメリットがあり、その経済効果が期待されています。
キャッシュレスポイント還元事業の影で消えゆくものとは何か?
しかし、そのキャッシュレスポイント還元事業の賑やかな影で消えゆくものもあります。
それは、地方の商店街にある昔ながらの小さなお店です。
私が住む地元の商店街では、ちょうど、このキャッシュレスポイント還元事業の開始に合わせるかのように、お店の閉店が相次ぎました。
一つは、私が小学生の頃にクリスマスプレゼントを買ってもらった昔ながらのおもちゃ屋さん。
もう一つは、駅前にある家族経営の老舗の小さな旅館。
どちらもこのキャッシュレスポイント還元事業の開始の影で、閉店、閉業となってしまいました。
消えゆくお店の閉店の理由
このおもちゃ屋や旅館の閉店、閉業は、キャッシュレスポイント還元事業の開始に大きく影響を受けたと私は考えています。
なぜかというと、このおもちゃ屋や旅館は、キャッシュレスの投資を行っても回収が見込めず、また、後継者もいないので、これを機に商売を畳もうとしたのではないかと感じたからです。
地方のおもちゃ屋を取り巻く環境
地方のおもちゃ屋さんを取り巻く環境は、アマゾンなどのネット通販の拡大や少子化で、非常に厳しい現状になっていると思われます。
地方の旅館を取り巻く環境
一方で、地方の旅館もまた、インターネット予約サイトによる安売り競争や全国チェーンビジネスホテルの進出で、非常に厳しい状況になっていると思われます。
より経営が厳しい状況となる理由
とくに、おもちゃ屋や旅館に限らず家族経営で経営者がご高齢の中小企業の場合、インターネットに対応できないところもあり、そうなると、経営はより厳しい状況になっていると思われます。
キャッシュレスポイント還元事業がもたらしたものとは何か?
上記のような厳しい環境となると、キャッシュレスに向けての投資や開始後の決済会社への手数料の支払いを考えると採算が合わなくなるお店もあると考えられます。
かと言って、キャッシュレスへの参入を行わずに現金のまま商売を続けても、キャッシュレスポイント還元を行なっている同業者にお客様が流れてしまいます。
ならば、「後継者もいないし、近いうちに店をたたもうと思っていたので、このキャッシュレスポイント還元事業が始まるタイミングで商売を辞めてしまおう」ということに、上記のおもちゃ屋や旅館はなったのでは、と私は読んでいます。
そうでなければ、ちょうどキャッシュレスポイント還元事業の開始の時期に立て続けに商店街の店舗が閉店、閉業にならないと思います。
キャッシュレスポイント還元事業によるもう一つの影響とは何か?
また、私は、このキャッシュレスポイント還元事業に関してもう一つの見方をしています。
それは、キャッシュレスポイント還元事業のように国が行う大きな経済事業は、商業環境の質的向上が図られます。
しかし、一方で、国は、キャッシュレスポイント還元事業のように大きな経済事業によって、これに対応できない古いお店の整理も行なっているように感じました。
今回のキャッシュレスポイント還元事業により、今まで長年に渡り日常の風景の中に当たり前に溶け込んできた商店街の店舗たちが、姿を消したことに、私は一つの時代の終わりを感じました。
それとともに、日本の商業環境は、新しい時代へと入ったことを痛切に思い知らされました。
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