マーケティング・コンセプトとは何か?意味は?
マーケティング・コンセプトとは、読んで字のごとく、マーケティングの概念を意味します。
別の言い方をすれば、時代を反映したマーケティングのトレンドともいえます。
マーケティングコンセプトは、時代とともに移り変わってきました。
(1)生産志向→(2)製品志向→(3)販売志向→(4)顧客志向→(5)社会志向と、その時々の社会状況で、変遷し、進化を遂げて来ました。
マーケティングコンセプトは、上記5つの流れですが、(1)、(2)、(3)をプロダクトアウト(生産者中心思考)、(4)、(5)をマーケットイン(消費者中心思考)と、二つに大別することができます。
プロダクトアウトとは何か?
プロダクトアウトとは、生産者が生産者自身の利益を中心に据えて行ってきたマーケティングです。
プロダクトアウトは、その言葉のように、先に商品(プロダクト)を作って(アウト)から、それをどうするかを考えるマーケティングです。
マーケットインとは何か?
マーケットインとは、時代の流れとともに生産者中心思考が行き詰まり、消費者の利益を優先するようになったマーケティングです。
マーケットインの言葉のように、先にマーケット・市場(消費者)の気持ちに中に入って(イン)調査してから、製品を開発するマーケティングです。
それでは、上記5つのマーケティング・コンセプトをプロダクトアウトとマーケットインに分けて解説していきます。
1.プロダクトアウト(生産者中心志向)
(1)生産志向
まず、一番最初の生産志向ですが、これは、「物は作れば売れる」という考え方になります。
現代のように物がなかなか売れない時代に、なぜ、このような考え方が生まれたかというと、生産志向は、物が不足していた時代に生まれた考え方だからです。
物が不足していた時代では、消費者の需要が生産者の供給を上回っていたので、物は作れば作るほど売れました。
例えば、昭和39年に東京オリンピックが開催された時は、オリンピックをテレビで見ようと、各家庭にテレビが売れに売れました。
日本の高度成長期を描いた映画「ALWAYS 三丁目の夕日」でもそんなシーンがありましたね。
このように、生産志向とは、物が不足したいた時代に生まれた、「物は作れば売れる」という考え方になります。
(2)製品志向
生産志向により、人々に物が行き渡ると、今度は、物があまり売れなくなってきました。
そこで、登場したのが、製品志向です。
製品志向とは、「物の品質を高める」ことに主眼をおいた考え方です。
今ある商品の価値をより高め、他社と差別化して、新たな需要を開拓することで、物が行き渡った時代でも、企業は売上を伸ばすことができました。
例えば、上記と同じテレビを事例とすると、生産志向の時代によりテレビが人々に行き渡ると、テレビが売れなくなってきました。
そこで、企業は、今度は、製品志向の考え方により、販売志向の時代のよりも、テレビの品質を高めて、新たな需要を作り出し、売上を伸ばしました。
例えば、テレビの画像をさらにきれいに映るようにしたり、テレビの画面をより大きくしたり、しゃれたデザインにするなど、付加価値を高めて販売しました。
このように、製品志向とは、物が行き渡った時代に生まれた、「物の品質を高める」ことに主眼をおいた考え方となります。
(3)販売志向
生産志向で物を供給し、製品志向で物の価値を高め、企業は利益をあげてきました。
しかし、品質が高い商品もまた、人々に行き渡ると、また、物が売れなくなってきました。
物の価値を高めてしまった以上、これ以上物をいじることはできない。
そこで、登場したのが、販売志向です。
販売志向は、「物の販売方法を変えて」、新たな需要を作り出しました。
物を供給したり物の価値をあげるといった物に直接関わる以外の方法で、さらに売上を増やしてきました。
例えば、今まであげてきたテレビの事例で言えば、生産志向や製品志向の時代の場合、テレビは、電気屋に行かなければ買えないものでしたが、販売志向の時代では、出かけなくても自宅に居ながらテレビショッピングで電話一本で買えるようになりました。
販売方法の利便性を追求することで、さらに、テレビの需要が増加しました。
このように、販売志向とは、物が行き渡り品質も高めた後にたどり着いた「物の販売方法を変える」ことに主眼をおいた考え方となります。
2.マーケットイン(消費者中心志向)
(4)顧客志向(マーケティング志向)
上記のように、生産志向、製品志向、販売志向といったプロダクトアウト的な生産者中心の考え方を続けてきた企業ですが、生産者中心の思考のため、次第に消費者との間にギャップを生み、販売が行き詰ってきました。
そこで、次に登場したのが、顧客志向です。
顧客志向とは、今までのように企業が作りたいものを作るのではなく、消費者(顧客)が買いたいものを作ることに主眼をおいた考え方です。
顧客志向は、上記の生産志向、製品志向、販売志向といったプロダクトアウト的な生産者中心の考え方ではなく、消費者中心のマーケットインの考え方となります。
そのため、顧客志向は、消費者=市場=マーケット中心の考え方となりますので、マーケティング志向とも言われます。
例えば、今まであげてきたテレビの事例で言えば、企業がテレビを売るにあたり今までどおりに先にテレビを作るのではなく、まずは、お客様(消費者)がどんな状況でテレビを見ているのか行動を調査します。
すると、家族でリビングでくつろいで見るよりも、自宅にいることが多い家庭の主婦の方が家事をしながら見ていることが多いのが分かってきました。
そこで、企業は、家事をしながら間近でテレビを見ることができる、場所もとらず移動も便利なポータブルテレビを開発しました。
ポータブルテレビの登場で、主婦の方が夕食などの調理やアイロンがけをしながら間近でテレビをみることができるようになり、さらに、テレビの需要が増加しました。
このように、顧客志向は、企業が作りたいものを作るような「物が先」ではなく、マーケットを事前に調査し「消費者が欲しい物を作る」考え方になります。
(5)社会志向(ソーシャル・マーケティング志向)
顧客志向(マーケティング志向)により、売上を伸ばしてきた企業でしたが、消費者の欲しい物をどんどん作ると、やがて環境破壊などの弊害が生じてきました。
物を作れば作るほど社会的コストが生じるようになってきました。
そこで、考えられたのが、社会志向です。
社会志向とは、企業が物を販売した後に生じる社会への悪影響も考慮した考え方となります。
今はやりの言葉を用いれば、ソーシャル・マーケティング志向とも言われます。
例えば、今まであげてきたテレビの事例で言えば、顧客志向により企業はテレビをさらに多く販売してきましたが、テレビが売れれば売れるほど、電気を使うようになってきました。
電気の消費量が増えると、地球温暖化が進み環境へ様々な悪影響が出てきます。
そこで、企業は、電気の消費量を抑えた省電力の省エネテレビを開発し販売しました。
それが、消費者に対して、「この企業は物を売るだけでなく自然環境も考えているのだ」という強力なメッセージとなり、共感が生まれ、多少他のメーカーよりも値段が高くても、自然環境の保護のために、この企業のテレビを選ぶ消費者が増えてきました。
このように、社会志向は、消費者が欲しい物を右から左へとただ作るのではなく、物を販売した後の悪影響も考慮した考え方となります。
まとめ
このように、マーケティングコンセプトは、生産者中心のプロダクトイン、消費者中心のマーケットインに分かれ、プロダクトインの時代は(1)生産志向→(2)製品志向→(3)販売志向、マーケットインの時代は(4)顧客志向→(5)社会志向、のように時代の流れとともに移り変わってきました。
社会が成熟化を迎えた現代では、消費者中心でありながら社会性も考慮した(5)社会志向がマーケティングのトレンドとなっています。
あなたの会社や企業も、時代の流れに従うべく、社会志向で自社のビジネスを捉えなおしてみてはいかがでしょうか。
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