突然ですが、大手企業に比べ、ヒト、モノ、カネといった経営資源に乏しい中小企業が生き残って行くには、どうすればいいでしょうか?
その答えとなる一つの考え方が「ニッチャー戦略」です。
ここでは、マーケティングの基本戦略とも言えるニッチャー戦略の意味について事例をあげながらわかりやすく解説していきます。
あなたもニッチャー戦略を学んでビジネスでの売り上げアップを図っていきましょう。
中小企業に有効な基本戦略「ニッチャー戦略」の意味とは?
ニッチャー戦略とは、ターゲット市場を狭め、そこに経営資源を集中させることで、少ない経営資源でも投資効率を高め生き残りを図っていく経営戦略のことです。
ニッチャー戦略は、大企業のように全てのターゲット市場を標的にするのではなく、自社の強みが最も活かせる一つのターゲット市場のみに照準を合わせ、そこにヒト、モノ、カネといった全ての経営資源を投入をすることで利益増大を目指すのが基本戦略となります。
例えば、10の経営資源を1ずつ10のターゲット市場に投入するのではなく、最も自社の強みが発揮できる一つのターゲット市場に10の経営資源を投入する考え方になります。
また、ターゲット市場を狭めることで、大企業では市場が小さすぎて売上高が十分ではなく採算が取れず進出できない市場でも、中小企業では十分に採算が取れ事業展開が可能性があるのもニッチャー戦略の強みです。
このようにニッチャー戦略でターゲット市場を絞り経営資源を集中投資することで、中小企業でも大企業との競争を回避し、安定的な事業運営を構築できる可能性があります。
ですので、ニッチャー戦略は、まさしく、経営資源が限られた中小企業にとって有効なマーケティングの基本戦略となります。
ニッチャー戦略は、コトラーの「競争地位戦略」の一つ
このニッチャー戦略は、4つの戦略からなるコトラーの「競争地位戦略」の一つにも数えられています。
コトラーの競争地位戦略は、マーケティングの基本中の基本の概念となりますので、まだご存知でない方は、下記のページでご確認ください。

あなたもきっと知っている!ニッチャー戦略の三つの成功事例とは?
ここまでビジネスでのマーケティングにおけるニッチャー戦略について解説してきました。さらにここからは、ニッチャー戦略の理解をより深めるためにニッチャー戦略の成功事例について述べて行きます。
きっとあなたもご存知の3つの企業をご紹介いたします。
ニッチャー戦略成功事例(1)コンビニ業界
ニッチャー戦略の成功事例の一つ目は、「セイコーマート」です。
セイコーマートは、北海道をターゲット市場とする地域密着型のコンビニエンスストアです(一部埼玉県と茨城県にも店舗あり)。
成功のポイント(1)「大手顔負けの圧倒的な店舗戦略」
セイコーマートは北海道をターゲット市場として経営資源を集中投資することで大手顔負けの店舗戦略を展開しています。
大手顔負けの店舗戦略とは、具体的には下記の3点です。
大手より先にコンビニを開店
大手顔負けの店舗戦略の1つ目は、セイコーマートは、大手より先に北海道でコンビニエンスストアを開店させた点です。
北海道は首都圏から遠いがゆえに大手が進出に手間取っている間にいち早く昭和46年に一号店を開店させコンビニエンスストア事業を開始させ先行者利益を得ました。
その後、大手全国チェーンが北海道に進出するのは、7年後の昭和53年にセブンイレブンが出店するまで待つことになります。
大手より多い店舗数
大手顔負けの店舗戦略の2つ目は、セイコーマートは、北海道内において、大手全国チェーンよりも多い店舗数を展開している点です。
セイコーマートは、北海道内で店舗数は約1186店舗を数えます(2019年)。
大手全国チェーンのセブンイレブン(約1008店)、ローソン(約670店)、ファミリーマート(約237店)を上回り北海道内でナンバーワンの店舗数となっています(2019年)。
大手が出店していない地域にも出店
大手顔負けの店舗戦略の3つ目は、大手全国チェーンが出店していない北海道の末端地域まで店舗を設け、営業エリアを拡大している点です。
セイコーマートは、札幌や旭川などの都市部中心の大手全国チェーンに対し、大手全国チェーンが未出店の北海道内における東西南北すみずみまで出店しています。
成功のポイント(2)「大手顔負けの圧倒的な商品開発力」
また、セイコーマートでは、セブンイレブンやローソン、ファミリーマートなど大手全国チェーンのコンビニエンスストアにはない北海道ならではのオリジナル商品を開発し販売しています。
大手全国チェーンの全国一律の商品とは違い、地元企業の強みを活かし北海道民のニーズを汲んだ商品開発を行っています。
例えば、北海道メロンソフト、北海道産小豆のどら焼きなど地元の食材を利用したご当地ならではのオリジナル商品を開発し提供しています。
また、弁当などは北海道民の味の嗜好に合わせて作られています。
そのため、セイコーマートは、北海道民から熱い支持を得ています。
このセイコーマートでしか手に入らないオリジナル商品は観光客も買い求めるほどの人気商品となっています。
ニッチャー戦略成功事例(2)理美容業界
ニッチャー戦略の成功事例の二つ目は、「QBハウス」(キュービーハウス)です。
QBハウスは、全国チェーン展開している格安理髪店(床屋)です。
QBハウスは、通常ある理髪店のように髪を切りたい人全てをターゲットにするのではなく、安く早く散髪を済ませたい方だけをターゲットにしています。
安く早く散髪を済ませたい方をターゲットにしているため、提供サービスはカットのみで、理髪店(床屋)では常識のシャンプーや顔剃りを始め耳掃除や肩揉みなどのマッサージなどは一切ありません。
しかも、QBハウスは、安く、早くを実現するために、支払いは事前の券売機での精算、シャンプー不要のエアーウォッシャーの導入、公式ホームページでの各店舗の混雑状況表示などの様々な工夫がなされています。
それらの効果により、QBハウスでは、散髪時間10分(延長料金無料)、料金1200円(税込)と通常の理髪店よりも圧倒的に安く早くの散髪を実現しています。
ニッチャー戦略成功事例(3)ビール業界
ニッチャー戦略の成功事例の三つ目は、「ヤッホーブルーイング」です。
ヤッホーブルーイングは、コンビニエンスストアでも見かける「よなよなエール」や「水曜日のネコ」を始めとするクラフトビールを手がけるビールメーカーです。
ヤッホーブルーイングでは、大手が入り込めないほどにターゲット市場をかなり細かく設定することで成功を収めています。
例えば、水曜日のネコの場合、年齢、性別、職業、家族構成はもちろんのこと、最寄り駅や利用路線などの居住地や趣味趣向のライフスタイルまで細かくターゲット市場の設定を行なっています。
ターゲット市場を綿密に細かく設定することで大手ビールメーカーとの競合を避け差別化を行なっています。
また、ヤッホーブルーイングでは、クラフトビールならではの味わい深い商品を提供するのはもちろんのこと、その他にも、よなよなエールや水曜日のネコをはじめインドの青鬼などのように独創的なネーミングを付けたり、缶に一風変わったラベルを施すなど、キリンやアサヒ、サッポロ、サントリーなど大手ビールメーカーとは異なる戦略を実行しています。
ヤッホーブルーイングでは、こういった差別化戦略が功をなし、顧客を獲得しています。
ターゲット市場を狭め経営資源を集中投資で大手に対抗
上記の三つの例であげたとおり、ニッチャー戦略を行えば、大手企業が同じ市場にいても事業運営を続けていける可能性があります。
具体的には、今まで述べたとおり、自社の強みが最も発揮できるターゲット市場において、大手が入り込めないほどにターゲット市場を絞り、そこへヒト、モノ、カネからなる経営資源の集中投資を行うことです。
ニッチャー戦略は、大企業と競合することになっても売上を上げることができる有効な一つのモデルケースです。
ぜひ、あなたのビジネスの参考にしてみてください。
ニッチャー企業の例
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